本物の霊能者っているんだろうか?
霊能者にもテレビに出るなど、有名な人はたくさんいる。
でもそんな人たちも含めて本物などいない。
はっきりいない。
そう言ってしまえる根拠があるようだ。
確かにひどい話では、困り果ててわらをもすがる思いの相談者の骨までしゃぶるようにお金を巻き上げる人間もいるようだ。
だがそれだけではない、良心的と言われる霊能者にだって実は本物なんかいない、という。
そしてその根拠には確かに一理も二理もある。
そんな現実を私たち普通の人間がどう考えていけば良いのか?
しっかり考えてみよう。
本物の霊能者とはどんな人?
なぜ霊能者に本物などいない、などと断言できるのか?
それを考える前にまず、一つにはその「本物」というのが一体どんな人を指すのか、曖昧だ。
いないはずのものを考えるのは変だけれど、一応「普通の人はこう思うだろう」という線で次のようにしてみた。
“霊が見えたりその音や声を聞くことができる、悪霊などを除くことができる人”。
そして同時に
“それがほぼ失敗もなくできる人”。
だがもう少し深掘りして見たい。
そこで実のところ私自身、割と有名な霊能者人に何人か会って相談をした時、同じことを聞いてみたことがあった。
その際の回答になるけれど、本物の霊能者に下のような特徴があるようだ。
・得意、不得意な分野があって、しかもそれでも完璧とは言えない。
・それどころか、相談者の霊的な困りごとが一向に改善されない、さらには悪化することだってあり得る。
・何も保証できない。
・甘い言葉ばかりを絶対語らない。
こういう風に、困り果てた相談者がわらをもすがる気持ちで頼ったとしても、最悪の場合には全く不透明な先行きしかない。
驚くしかないが、こういうリスクを前もって正しく伝え、自分の限界をはっきりと示す。
そして変に相談者にお金をふっかけるようなことはしない。
一応こういう人たちが本物で良いと思う。
霊能者や占いのテクニックは心理学と統計学?
だが、結局こうしたレベルの霊能者にしても、だからそれが本物だろう?
といわれればやっぱりいない。
なぜかと言えば彼らのできることはある意味私たちにだってできることだからだ。
しかもそれは霊能力などではない、ちょっとした心理学的なテクニックのようなものだ。
私たちが期待しているような本物の霊能者というのは、そういうテクニックを駆使して、それで預言とか占いを的中させている可能性が非常に高い。
そのテクニックは3つの要素がある。
興味深いので、ご紹介してみよう。
1. ホットリーディング
ネット上の占いサイトでも、相談者は必ず年齢や生年月日など個人情報を聞かれる。
もちろん実際に占い師とか霊能者に相談に行っても同じで、私も経験がある。
これは一つの心理学的なテクニックの一つで、ホットリーディングと呼ばれている。
これは前もって個人情報などを取得し、それを利用して相談者にまつわる事実などを言い当てる方法だ。
ようするに、彼らはまずこの手法を使おうとして、巧みに個人情報を知りたがる。
それに相談者は、信頼しきっているためもあって自然と伝えてしまうのだ。
2.コールドリーディング
そして、コールドリーディングと呼ばれるもう一つのテクニックと組み合わせて、さらに的中率を高めるという。
コールドリーディングというのは、ホットリーディングとは異なり相談者の個人情報など本人の情報そのものズバリを手に入れようというのではない。
ちょっとした会話をしてその反応を見たり、外見をみて様々な推測をしたりして事実を言い当てるというものになる。
人というのは相手に黙っていられるよりも動いてくれたり、しゃべってくれた方が内実がわかるものだ。
これを利用しない手はない、と言うわけだ。
3.統計学
そしてここに、
「こういう場合は大抵こうなる」
などという、統計学的な要素も交えて的中度を高めていく。
元々占い自体、一種の「応用統計学」みたいなものだという人もいたと聞いている。
これで大抵のケースはからめ取ることができるようになる。
そしてこの3つを上手に駆使できるほど、的中率が高まる。
情報があるほど的中!
そしてこの3つに加えて、相談者から得た個人情報。
単に名前や性別、生年月日だけではない、家族構成とか勤め先の会社名、車のナンバーなど、情報が多ければ多いほど当たるという。
私も本物だいう霊能者数人に相談に行った時、みんながみんな、私の個人情報を元にして“霊視”していた。
私自身、本物などいない、とは言いたくない方だ。
けれどもこれだけのネタが挙がって、しかも自分自身で体験してしまった以上、本物などいない。
はっきりそう言われても仕方が無い。
TVに出たらもうダメ?
最近は心霊番組など霊能者の出演するTV番組がずいぶん少なくなってきている。
TVで本物などいない、という声もあるけれど、それもそのはずで、TVというのは最初に視聴率ありきの場所になる。
ほんの数パーセントの視聴率でさえも巨額のお金が動くTV局。
事実でも嘘でもよい、視聴者が見てくれさえすれば良いというのが行動原理だ。
最近は特定のTV局がでっち上げや虚偽報道で問題になっている。
そんなテレビ局や番組に出演している霊能者。
あくまでもそういう霊能力とか霊の存在を信じたとしてのことになるけれど、本物だとかすごい前評判があったような人も、結局はテレビ局が担ぎ出した時点でもう終わっている。
そんな声がある。
考えれば考えるほど不気味ではないだろうか?
最初は純粋な動機から、TVを通じて霊の世界を知ってもらい、少しでも多くの人たちのためになるならば、とTV局からの依頼を引き受けたりしていたのかもしれない。
けれど、嘘でもでっち上げでも良いTVと関係を持ち続けるうちに洗脳され、結局は劣化していく。
その時点でもうその人は偽物。
悲しいけれどこれが一番事実に近いだろう。
本物の 霊能者などいないと言い切ってしまって良い、と言う理由がここにある。
自分の依存心と戦うことが大切に
それに対して相談者は自分の悩み事とか、語ってもいないことを言い当てられてしまう。
切羽詰まっているほど、よけいに盲信してしまう。
カラクリに引っかかってしまう人たちは確かに後を絶たないのだ。
むしろそういう人たちの方が心配すべきではないだろうか?
実生活の辛さに心が負け、「何かにすがりたい」と依存心がつのるまでは同情もできるだろう。
だが、そういういないものに対していると信じてしまう時点でやっぱり問題になるはずだ。
結局、辛い結論かもしれないのだがそういう依存心と戦うこと。
そして自分の直面している悩み事、問題はやはりしっかり向き合い、自分で解決する努力をすること。
それこそが一番大切に違いない。
高橋国大(くにひろ)